冬の北海道へ行った話
・長年の夢を叶えるために
最近の俺は遠出したくてウズウズしている。
今までは金が足りないと思って行けなかったが、よく考えたら他に大金を使うような事がなかったので行っても良いんじゃないかと思い始めた。で、冬に行ってみたい所と言えば…(場所にもよるだろうけど)一番寒い地、北海道。
俺は大人になっても子供のように雪が好きなのだが、両親は雪の恐ろしさというのをよく理解しているので、真冬の豪雪地帯に連れて行ってくれるようなことは滅多にしなかった。ましてや北海道なんて夏に1回行ってみただけ。
そういう事情があるので、今回は観光とかうまいメシとかより、雪と寒さの恐ろしさを知ろうというのが一番の目的だったりする。
ついでに、ガキの頃から乗ってみたかった寝台特急や東北新幹線のグランクラスに乗ってみるいいチャンスでもあったので、行きはこれらを使う陸路にしようと決めた。
あとの予定は割と適当に決めていく。雪によってどこで予定が狂うかわからないというのもあるが、そもそも俺はキッチリ予定を立てることができない。
服やら靴やらも寒さを確実に防げそうなヤツを買った。先に年末の帰省でどれくらい耐えられるか試したが*1、全く平気だったのでコレなら北の寒さも耐えられる程度にはなるだろうと確信できた。
そしたら、あとは旅行の日をワクワクしながら待ち続け…2月上旬、必要な物をリュック1つに収めて3泊3日の旅に出る。
・1日目:ほぼ座りっぱなし
今回乗ったのはシングルツイン。出来ればシングルデラックスに乗ってみたかったが、残念ながら喫煙枠しか空いてなかったのでやめておいた。
下の寝床はバラして椅子とテーブルに変え、(京都駅を通過した後ぐらいに)上で寝る。寝心地自体は悪くなかったので寝れるかなーと思ったのだが…音と揺れが想像以上に妨害してくる。
音はAirPodsProのノイキャンで何とかなるとしても、揺れはどうしようもない。それでも気づいたら5時だったので多少は寝れた気でいたのだが、歯磨きとかしようと洗面台のエリアに行って鏡を見たら目が充血してたり頭痛がするのに気づいたので結果的には眠れてなかったのだろう。
5時に起きた時点であとは寝れそうになかったので、あとはミニラウンジでコーラ飲みながら夜明けを眺めたりしつつ*2、終点に着く手前で準備して降りた。
どうやら大阪からでは環境に慣れて寝るための時間が足りないようだ。せめて岡山辺りからだったらもう少しちゃんと眠れたかもしれない。
東京駅のカフェで適当に時間を潰した後、(密回避も兼ねて)グランクラスに乗る人が入れるラウンジでさらに時間を潰す。ハーブティーが5種類くらいあって(飲んだのは2種類だけど)結構美味しかった。一緒にお茶菓子も出してくれる。
そしたらいよいよグランクラスへ。席の座り心地は実際良かった。
ここに乗ってる間、朝食代わりの軽食やらお茶菓子やらを食べながらお茶なり酒なりを飲んで過ごしていた。といってもまだ午前中なので酒類は2つ(シードル、ビール)くらいしか飲んでないが。
東北地方に入って岩手県を越えた辺りから見え始めた雪を眺めていたら、気づいたら青函トンネルに入ってたのでそのまま寝た。
そしてトンネルを抜けた光で起きた。トンネルに入る前も後も雪国であったが、東北とはまた違う雰囲気を感じていた。
そうして新函館北斗に到着。一旦改札を出て、周囲をウロウロしていた。ついでに何か良さそうな昼食があれば食べようかと思っていたが、そもそも座ってばかりで腹が減っていなかったのでパス。
そうして時間が経ったら次は特急北斗に乗って札幌駅へ。
海側の席を予約していたのだが、海岸沿いを走っている間は中々見ごたえのある景色が続いて楽しい。山側の方はどうだったんだろうな?
内陸側に入っていった後は寝たり起きたりを繰り返し…気づいたら札幌近くまで来ていた。そして降りたらまた周辺をウロつき、その間に晩飯はどうしようか考えていたが…北海道の寿司は新鮮で美味いと聞くので、寿司屋を探して入っていった。
適当に好きな物食べていたが、確かに中々良い味してたと思う。特に中トロやハマチ(ブリ?)が美味かった。あん肝は初めて食べたのだが、コレはよくわからん味でなんとも言えない。少なくとも不味くはなかった。
晩飯を食べたら、駅近くのホテルへ向かう。
普通のシングル…よりはちょっといい部屋で、ベッドが違うらしい。あと入浴剤も付いてる*3。しかしながら、札幌に来たというのにこのまま眠るのも勿体ないと思ったので、さっぽろテレビ塔に行ってみることにした。
残念ながらクソッタレウイルスの影響で雪まつりはやっていなかったが、イルミネーションらしきものは飾っていた。年末の仙台を思い出す。
そして…さっぽろテレビ塔と、その展望台から見た景色。雪はちょっとだけ降っている程度だったので、見晴らしも比較的良くて夜景を楽しむことができた。
しばらく夜景を眺めたらまたホテルに戻る。ちなみに買った冬装備のおかげで寒さは目周辺以外ほぼ感じなかった。というか歩くと暑いレベル。
展望台には記念メダル自販機と、それに刻印する観光地にありがちなアレがあったので*4、せっかくだからやっておいた。刻印は本名ではなく英名ハンドルネームの方で。
そしてここの宿泊プランでは、酒とつまみを用意しといてくれるプラン*5を選択していたので、風呂上がりにこれらを楽しんでいた。チューハイは言うまでもないが、ワインも甘口であった。無論美味い。
あとつまみの方も、焼とうきびはトウモロコシそのまんまの味がしたし、カレーせんべいも良い具合の辛さでどちらも美味かった。特にカレーせんべいは気に入ったので、帰ってから通販でまた注文して食べている。
飲み終わったら結構グラグラする感覚がある程度には酔っていたので、その勢いでベッドイン。2日目へ。
・2日目:どこまでも広がる雪原
6:30に起きたら、ホテルのバイキング朝食へ向かう。色々あったのでちょっとずつ食べつつ、カツゲンという乳酸菌飲料も初めて飲んだ。ヤクルトとは別方向な感じの味だったが、とりあえず悪くはない。一番印象に残ったのはスープカレーかな。
今回の宿泊プランは12:00まで滞在できるようだが、あいにくそんなのんびりしてる時間はない。
荷物をまとめたらチェックアウトして、特急ライラックに乗る。
札幌駅を出て少し経つと、こんな感じでひたすらまっさらな雪原が続くようになった。昨日とは違い山もほぼ見えない平原なので、とにかく広大さがすごい。
しばらくこんな感じの景色を眺めていると、また市街地に入り…
旭川駅に到着。先に言うと、目的地は富良野なので滝川駅で乗り換えるほうが早いのだが、せっかくだからチラ見くらいはしておこうと思って来た。
こんな感じで時間を潰した後、富良野線に乗る。だだっ広い雪原と共に雪の反射光が凄かったが、こんな事もあろうかとサングラスを買っておいたので無問題。
そして富良野駅へ到着。駅前からしてなかなか過疎感を感じさせる街並みだったが、むしろ地元に近い雰囲気なので落ち着く。
この後近くを歩きつつ、予約した時間になったらパラグライダーに乗って(乗せてもらって、と言う方が近いかもしれん)上空200m*6を10分くらい飛んでいた。残念ながら飛行中の写真はない。一応向こうが用意してたケースみたいなのに入れておけば撮影も可能だったようだが、こういうのは初めてだったしなんかミスった時のリスクを考えてやめておいた。
飛行中は防風対策してあるダウンとズボンの部分は平気だったのだが、それ以外…具体的に言うと顎とつま先の辺りがすげえ冷えた。初めてということもあって楽しさと恐怖が半々くらいだったが、富良野の雪原を上空から一望することができたのは良かった。次はもうちょっと寒くない時に飛びたいね。
で、ありがたいことにここの店主さんが次の目的地まで車で送ってくれることになったので、新富良野プリンスホテルの辺りまで送ってもらって…
ニングルテラスをぐるっと見てきた。まあ俺みたいなのはあんまり似合わない場所なので、早々に退散して次の目的地の
チーズ工房に行って昼飯を食べてきた。アンチョビっぽいのがいい感じのアクセントになっていたと思う。
その後はバスで富良野駅周辺に戻り、フラノマルシェでホットミルクを飲んだらひたすら散歩して北海道の寒さと雪を楽しむ。上の写真は空知川のあたりで撮ったもの。
この写真には多分写ってないが、明らかに人のものではない足跡をそこそこ見かけていたのでパラグライダーの店主さんに聞いた所、ウサギとかキツネとかネズミの足跡だと思う…という感じのことを話していた。出来れば見れないかなーと思っていたが、まあ実際にいたとしても保護色で全く見えないだろう。
ついでに、この辺りは比較的雪が少ない場所とも話していた。そりゃ、確かに内陸だし*比較的*少ない方ではあるんだろうが…。
日没までとにかく歩きまくっていたが、途中で(水滴付きまくって)取り替えたマスクをそのまま手で持っていたら数分後には凍っていたので驚いた。全く寒くなかったので忘れかけていたが、気温は-10度前後なのでそりゃ凍るわな。
日が完全に落ちた頃、富良野でそこそこ有名っぽい店で晩飯のオムカレーを食べる。もちろんめちゃくちゃ美味い。山賊鍋というのも気になっていたが、昼飯食べるのが遅かった分そこまで入らないだろうと考えて諦めた。
晩飯食べたら富良野駅近くのホテルへ。この日の部屋はおまかせにしていたのだが、多少良い部屋に当たったようだ。
動き回った疲れからか、チェックインしてすぐ眠って気づいたら22時過ぎになっていたので、ホテルのレストランにて無料サービスの夜鳴きそば(ラーメンだけど)を頂く。シンプルに醤油味で悪くなかった。
ついでに、富良野市のLINEを登録して軽いアンケートに答えたらワインをくれるキャンペーンもやってたので、サクッと済ませて頂く。家に帰ってから飲んだが、割とサッパリめで飲みやすい感じで良かった。
その後は洗濯機と乾燥機使って服を全部洗いながら、漫画コーナーにてワンピースを読んでいた*7。終わったときには日付も変わって貸切風呂も空いていたので、そちらで入浴。壺風呂がそこそこ大きくなったような感じの風呂で、大体寝静まってるような時間なのもあって静かに温泉を楽しめた。
・3日目:大雪を超えた大雪からの脱出
起きたらすぐ朝食バイキングに向かい、ここでもまた色々と少しずつ食べる。スープカレーは安定して美味い。というかカレーってよっぽど余計なことしなけりゃ不味くならないよな。あと(ご当地モノではないが)ライチをこのとき初めて食べた。
朝食の後は朝風呂をしようと大浴場へ。露天風呂から見る北の大地の朝は素晴らしいものだったが、気温と水温の差がヤバすぎてヒートショックを起こしそうな不安があったのであまり長く外には出なかった。
(粗いズームで見づらいが)風呂から上がった後、外を見ていたら気球が飛んでいた。後で調べてみたら冬場に飛べる確率はそこまで高くないらしいので、この日は運が良かったと言えるだろう。
10時手前までワンピ読んだりしながらのんびりした後、チェックアウト。
別れを惜しむように富良野駅周辺を撮影して、この後は根室本線を使って滝川駅まで行き、特に何事もなければ小樽まで行ってちょっと見ていこうと思っていたのだが…この日は札幌周辺が豪雪に見舞われており、改札した時に駅員さんに行けないかもしれないと話された。
まあその辺は先に俺も把握していたし、最悪行けなくても札幌で時間を潰してから新千歳空港へ向かうプランBは事前に考えていたが、これでもまだ考えが甘いのだということを思い知らされることになる。
とりあえず根室本線で滝川駅についたのは良いが、そこからの列車がすべて止まっていた。この辺りは普通に晴れていたのだが、札幌駅周辺は想像以上の大雪で除雪が全く追いつかない状態らしく、楽観主義者の俺でも今日中に列車が復旧して帰れるだろう…と思える状況ではなかった。
なら空港まで高速バスで行くか?と思ったが、次のバスまでかなり時間があるし、そもそもこの状況ではバスもかなり人が乗ってくるはず。バスにせよ飛行機にせよ乗れる保証は何処にもない。
というわけで最後の手段、タクシーで空港まで行く選択をとった。最初に、新千歳空港まで行けます?と聞いたら運転手の人はかなり驚いていたが、とりあえず現金は足りそうなことを確認した上で、運転中に事情を話したら割と納得していた。
高速道路も江別の辺り(うろ覚え)で通行止めになってたのでそこで降りたが、この辺りになるとそれはもうすごい吹雪でビビった。それでも一般道路は何とか走行できていたものの、こんな状況でも運転できる北海道ドライバーはホントすげぇなと内心感服していた。
猛吹雪を観ながら脳内で幻想のホワイトトラベラーや216番道路のBGMを流しつつ、眠る。起きたら空港まであと1時間くらいで着きそうな所で、どの辺かは知らんが天気もすっかり晴れ、車道は雪が完全に溶けているような状況だった。北海道は地域ごとの気候差が激しすぎないか?
まあここまで来てこんな天気なら後は安心だなと思いつつまた外を眺め、空港についたら大金を支払う。かなり長距離を運転してもらったので若干悪い事したなと思っていたが、運転手も今日のノルマを1回で達成できたと喜んでいたのでwin-winとみていいだろう。とにかくタクシーに感謝。
新千歳空港へ入ったら、駅へのエスカレーターは閉ざされ、高速バスの切符売り場には多くの人が並んでいた。後から調べてもバスはバスでかなり大変だったようなので、やはり金を多く失う羽目になってもタクシーを頼んだのは正解だったと感じている。
とりあえず一息つこうと雪印パーラーのスノーロイヤルアイスを食べる。コレは昔行ったときにも食べたものだが、相変わらず濃い味していた。
その後に昼飯として塩ラーメンとチャーハンのセットを食べる。…順番逆のほうが多分良かったな。
そんな感じでしばらく空港内を見てから、保安検査場を通過してプレミアムクラス用のラウンジへ。俺は金ないクセに贅沢したがる性分なので、飛行機に乗るときはプレミアムにすることが多い。
「いつもありがとうございます」と言われたが、チェックインする時にプレミアム利用回数とか表示されてるんだろうか…まあ単にマニュアル通りに言ってる可能性もあるけど。
で、ラウンジには基本的にサッポロとキリンのビールサーバーが置いてあるのだが、ここのサッポロビールはクラシックになっていた。ここに置いてるだろうと予想してたので、ここまでコレ飲むの我慢してよかった。旅行の最後に飲むビールは美味い。
搭乗開始より少し前になったら搭乗口で待ち構え、飛行機に乗る途中で素早く外を撮っておく。特にいい景色じゃないが、帰りの飛行機に乗るときはなんとなくいつもこうしてる。
そんでプレミアムの座席に座ったが、1列に6席ずつあるようなタイプは初めてだった。リクライニングもほぼ寝れる角度にまで倒せたり、色々快適度が違う。大型の飛行機だと座席も余裕が大きくなるんだなぁ。
まあ実際には眠らず、晩飯代わりの機内食とワインを頂く。またしてもあんこうが入っていたが、やっぱりよくわからん味だった。
伊丹についたらさっさと帰路につき、眠る。これで北海道の旅は終わり。
・振り返って思うこと
随分大金ぶっこんだ割にやった事は大したことないように思うかもしれないが、とりあえず最初に書いた目的と、ガキの頃の夢は十分達成できたのでこれでも満足している。
北海道の雪は(手袋の上から)触っても全く溶けずサラサラしていて、俺が今まで触れてきた雪とは全く違うものだった。これだけでもとにかく楽しいので、歩いてるときは大体雪で遊んでいた。
まあこうやってちょっとだけ遊びに行くだけだから楽しいのであって、現地の人々にはクソ厄介な物なんだろうという事も(主に3日目で)理解した。北海道に住むとしたらこの辺は相当な覚悟要りそうだなぁ…。
満足はしたが、夏のラベンダーやら何やらの景色もどういうものか気になる。でも夏は沖縄行ってみるのも面白そうだし…その前に春は吉野や厳島に…金は尽きても行きたい場所は尽きない。